日常的なこと

電子書籍に出版中の短編小説、全部値下げしました。

こんにちは。高橋です。
年度初めは何かと忙しないですが、皆様ご機嫌いかがですか?

アマゾンのKindleにて販売中の全ての電子書籍につきまして、少しでも多くの方にお読みいただきたく、当分の間、最低価格の99円にてお分けします。新作「愛玉」も対象ですので、是非この機会に!

小説一覧


2016-04-14 | 日常的なこと | No Comments » 

 

最新短編小説集「愛玉(あいだま)」を出版しました!

告知の通り、本日アマゾンにて、標記短編集の販売を開始しました。
これまでの超短編小説集よりもタイトル数は少なめですが、硬軟入り乱れた、多彩な風合いを感じてもらえる短編集になったのではないかと思ってます。
今現在の、自身の持てる力の全てを出し切った小説集ですので、是非ご一読ください!

超短編小説集『愛玉』 

【収録作品】(全10編) (約75,000字/平均読了時間 1時間30分)
1.  愛玉
2.  奇痒譚
3.  バレンタイン騒動
4.  壁画の娘~銀座ライオンの恋
5.  気の毒な老人
6.  名刺奇聞
7.  男と女が再びホテルで会う理由
8.  『マアクンとコウクン』
9.  螺子(ねじ)
10. 愛のミステリーツアー

【書き出し】
かつて、愛は高級品だった。庶民が手を出せるものではなく、お金持ちだけが買える贅沢な代物だった。従って、我々が日常生活で目にする機会はなく、過去に愛を所有したことがあるのは、たった一度だけ、結婚したての頃だった。箪笥やら家電やら布団などの妻の嫁入り道具の一つに、愛は混じっていた。妻に聞いても、間違いなく買った記憶はあると。(超短編小説「愛玉」)

最新短編小説集


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

恋愛に関する雑文

恋愛に関する一考察
初めて君を抱くまでに、僕の好きだったもの。

僕が映りこんだ麗しき瞳。
黒く長いつけ睫毛。
艶やかな厚い唇。
時々口の端から覗く八重歯。
色白で華奢な二の腕。
小さいけれど、つんとせり出した胸。
タイトなスキニージーンズ。
黒革のロングブーツ。
ヴィトンのショルダー。
世田谷のワンルーム。
家族の写真。
控えめな丸文字。
相槌を打つときの表情。
そしてちょっぴり、やきもちな性格。

しかし初めて君を抱いた後では、それらのほとんどは、
特別魅力的なものではなくなっている。

二度目に君を抱いた後では、そのうちのいくつかに嫌悪さえ覚える。

三度目に君を抱いた後では、君の何もかもが嫌になっている。

そして僕はしばらく君と距離を置く。
一月、半年、あるいは、一年。

けれども僕はある日、無性に君に会いたくなる。
一度嫌いになったはずのものに、また一つずつ「好き」のスイッチが入る。
それは真夜中の雷鳴のように、唐突で衝動的なものだ。

空白は二人の距離を縮めるための必要悪であったかのように、
君は自分勝手で我儘な僕を、しぶしぶ受け入れてくれる。
そして、再び僕は君を抱く。

今度は、抱いた後でも、君を嫌いにはならない。
三度抱いた時と違って、君の好きなところを見つけ出そうとさえしている。
君を抱いた数は、君に生涯を捧げる「約束手形」の枚数に等しい。

僕は誓う。

二度と君を離さない。
二度と君を試さない。
二度と君を裏切らない、と。

それでも、またいつか倦怠を覚えるのが、「恋愛」というもの。(了)


 

【不倫に関する自由詩】月曜日の恋人

私が勝手にそう呼んでいる、

あなたの外回りと、

私の仕事の休みが重なる唯一つの時間、

あなたには奥様もお子さんもいるから、

週末の休みを一緒に過ごすことはできないし、

太陽の下で手を繋ぐこともできないし、

二人で夜明けを迎えるなんてもちろんできない、

それでも、あなたは月曜の朝になると、

私の自宅のちょっと先まで車を乗り付けて、

ありふれた日常から私を引きはがす、

誰にも邪魔されない、

ラブホテルの一室で、

あなたの心も身体も独り占めにする、

 

私の中であなたは一〇〇%だけど、

あなたの中で私が全てになることはない、

あなたには奥様とお子さんがいる、

それは最初から分かってること、

一人身の私と違って、

あなたには守るべき人がいるのは承知の上で、

私はあなたに近づいた、

人を好きになるのに理由はなく、

あなたを好きになるにも理由なんてない、

偶然好きになった人に妻子がいたというだけのこと、

非常識と思われてもいい、

気持ちに嘘は付けないから、

あなたと知りあってから間もなく二年、

ゴールがどこにあるかなんて分からないし、

そもそも私たちの関係に、

ゴールがあるのかさえ分からないけれど、

ただただ、あなたのことが好きだという気持ちだけで、

今日も身体一杯、

あなたの愛情を受け止める、

あなたと身体を重ねれば重ねるほど、

あなたの時間全てを私のものにしたい気持ちが、

日増しに強くなっている、

どうにもならないことは分かっているのに、

これ以上あなたを求めてしまえば、

この関係も幸せも壊れてしまうかもしれないのに、

奥様とあまりうまくいっていない話とか、

子供関係のお付き合いが大変そうな話をあなたは時々するけれど、

だからといって私があなたを救えるわけじゃなく、

助けてあげることもできない、

いっそのこと壊れてしまえ、だなんて、

あなたが不幸になるのを望んでる、

冷酷で独りよがりなもう一人の私がいる気がして、

自分でも時々怖くなる、

 

月曜日しか会えないことが辛い、

月曜日はあなたと会えるけれど、

幸せな週末の余韻までも、

あなたはワンボックス一杯、運んで来てしまうから、

マクドナルドのハンバーガーやポテトの匂い、

ドアポケットに挟まれたディズニーランドのパンフレット、

チャイルドシートの食べかす、床に転がるティッシュ、

あなたはそんなに気にしてないかもしれないけれど、

私にとっては永遠に踏み込めない領域、

あなたをどれほど愛しても、

あなたからどれほど愛されても、

あなたの家族を飛び越えることはできない、

ポテトの匂いを残したり、

ティッシュを車に落とすことはできても、

私の香水やイヤリングを車に落とすことはできない、

あなたの日常生活の中に、 

私は存在してはいけない女、

二人の関係を続けていく以上、

私はこれからもずっと、

我慢しなければいけないこと、

でも最近、

私もあまりに辛いから、

あなたもあまりに無頓着過ぎるから、

私はちょっとだけ悪魔になっていたずらをする、

助手席の座面と背もたれの隙間に、

私が生まれた年の硬貨ばかりを、

あなたに気付かれないように、

会う度一枚ずつ差し込んでいく、

馬鹿げてると思うけど、

あなたの日常に私の存在が全くないのは、

あまりにも寂しすぎるから、

 

月曜日の恋人は、

今日もまたいつものように車を停めて、

わたしを根こそぎさらっていく、

週末の記憶も、

私の気持ちも、

丸ごといっしょくたにして。


 

「痒い」小説。

変な痒みに襲われる経験てないですか?
掻いても掻いてもちゃんと掻けてない、というような。虫刺されとかの痒みなら、ぷっくりした赤い膨らみを掻いていれば痒みは鎮まるのかもしれないけれど、もっと奥、痒みの実体がどこにあるのかが分からないような、捕まえられないようなところから発している痒み。
内臓系の病気や何かでありそうだけれど、時々そんなものに出くわすと、とても苛々して、不快な気持ちになる。いくら掻いても満足感は得られず、ただ皮膚の表面を傷つけるだけで。それを表現しようと思ったらどうなるのかな、と掻いてみた、否、書いてみた小説が、「奇痒譚」という短編小説。

「痒み」にスポットを当てた小説なんて、地味だし暗いし、読んでいて気分のいいものじゃないので、そんなものを題材に書く人なんていないと思う。僕の知る限り、太宰治くらいである(短編「皮膚と心」)。身体や病気に関する悩み、コンプレックスを扱う小説は多々あれど、「痒み」そのものを取り上げた小説は他に読んだことがない(他にあれば興味があるので教えて下さい!)。

恐る恐る筆を進めてみたけれど、案の定、書いている最中にも、身体のあちこちが痒くなってきて仕方なく、小説でも書いたけれど、もうパソコンに向かってキーボードを叩くことすら難しいという経験をした。書いてるだけでこれだけ痒くなるんだから、読む人もきっと痒くなるんだと思う。怖い物見たさで痒くなりたい人は(そんな奇特な人はきっと僕だけなのかも知れないが)、是非ご一読を。

【超短編小説「奇痒譚」(書き出し)】
むず虫。その奇妙な痒みを感じるようになりましてから、いつしか私はそうした名で呼ぶようになっておりました。みみずやダニが這いずり回っているとも、ピンや針でなぞられているとも違う、またおたまじゃくしの卵とか、蜜に群がる赤蟻の大群とか、半分に割った石榴や山桃の外皮を目にした時に感じる視覚的な痒みでもない、そうした有機物や無機物、大きさ、密度、動きとは無関係な、痒みの本質そのものでした。


 

「愛玉」という小説。

新しい短編集の最初の小説、また表題でもある「愛玉」という小説について。

所謂、愛の「卵」のような、「素」のような不思議な商品が百均で売られている、という話。
これは全くのフラッシュアイデアだった。発想の瞬間はよく覚えていないが、とても穏やかで、優しい時間が流れていたんだと思う。
「愛」を金で買う、という発想。純粋な愛情を一途に夫に捧げ暮らしている、美しい一般女性に対し、偶然出会った大富豪が金にものを言わせて誘惑しようとする話は、昔何かの映画で見た。金と愛というテーマは、男女の恋愛において永遠のテーマである気がする。
男女にとって、愛は大切である。しかし、結婚生活を維持するためには金がかかる。愛情だけでは食えない。金を得る為にあくせく働いたり、あるいは楽をして金を得ようとしたり、悪賢いことを考えたり。そのために何かを犠牲にしている。家族といる時間。夫婦や親子としての愛情。自身の身体。健康。永遠の愛を誓って結婚した筈なのに、一生愛するつもりで結婚した筈なのに、いつしか生活することに追われ、日々生活することが目的化する現実。一体何の為に今こうして暮らしているのか、生きているのか、夫婦や家族でいるのか、年を重ねるごとに曖昧になり、輪郭はぼやけ、悩みも増える。昔、結婚した頃には確かに存在した筈のあの愛とやらは、一体何処に消えてなくなってしまったのだろう。いや、本当に消えたのかどうか。潜在化してしまっただけなのかもしれない。

そんな「愛」に関する雑駁な断片をつらつら妄想していたら、こんな小説になった。
荒唐無稽で捕えどころのない小説に見えるかもしれないけれど、愛なんて、元来荒唐無稽なものなのかもしれない。

超短編小説「愛玉」より(一部抜粋)】
愛玉と目が合った気がした。じっと僕を見つめているようだった。僕は手を伸ばした。愛玉は僕の手に沿うようにすっと落ちて、僕の肩でぱちんとはじけた。はじけた後の愛玉は三つに分かれて、換気扇やらキッチンラックやらの周りに揺らいでいた。玄関のチャイムが鳴った。娘だ。いいタイミングじゃないか。もうすぐで茹で上がる。蓋をあけるとお粥もいい塩梅だった。


 

「マアクンとコウタン」

今度の短編集に収めてある小品、「マアクンとコウタン」。
とある駅の線路に落ちていたクマのぬいぐるみから話が展開していくのだが、このイントロ部分は、実際の体験がきっかけになっている。僕の短編小説は、実際に体験した強烈な印象、光景、そうしたものから物語を妄想していくパターンが多く、今回のこの小説は正にそう。

通勤で使う駅に、クマのぬいぐるみが僕を見つめていた。きっと、その時の僕は連日残業が続いていて、本当に弱っていた時だった。あくる日も、その翌日も、クマは僕を見つめていた。誰が拾い上げるのでもなく、クマのぬいぐるみはいつでもそこにあった。その顔が、何とも愛くるしく、僕は落とし主のことを思った。一体どんな人なのだろう、どうしてこんなところに落ちてしまったのだろう、どうしてこんなうまい具合に目線がこちらに向くようにとどまっているのだろう、そう考えていたら、一つの短編小説を思いつき、書き始めたのがきっかけ。これまでの小説とはちょっと違ったトーン、印象に仕上がっていると思う。

是非お楽しみに。

◆超短編小説『マアクンとコウタン』(書き出し)
死にたい、そう思った。車内の人波に流されるまま目的の駅で降りると、視界が突然狭くなり、いよいよ立っていられずその場にうずくまった。朝の通勤ラッシュでホームはごった返していて、その場から動けない人間などただの障害物でしかなかった。多くの通勤通学客が私の背中にぶつかり、鞄を蹴飛ばし、悪意すら感じる一瞥だけを残して、無言で歩き去った。
(→続きはこちらで)


 

最新短編小説集の予約販売を開始しました。

本当に本当に、大変長らくお待たせをいたしました。
アマゾンにて、短編集の予約販売を開始しました。
3月31日に配信されます。

いい加減出版日を決めないと、いつまでもずるずるしてしまいそうだったので、えいやと。
アマゾンでのKDPのルール上、予約販売は、最終稿を10日前までに入れないといけません。
なので、僕は21日までに、出版用の最終原稿をアップロードする必要があります。
これから直前ぎりぎりまで、誤字脱字、不具合の細かいチェックを行います。

今回の10編は、以前にホームページで公開していた超短編4編、この為に新たに書き下ろしたもの4編、企業のブランディング小説として書いた中からお気に入りのもの1編、他の作家さんたちとコラボ小説集用に収録していたもの1編の合わせて10編の超短編小説になってます。

どれもこれも、書き上げた年次が比較的最近のものばかりなので(書き下ろし4編が一番最新ですって当たり前ですね^^;)、今の自分の実力を一番如実に示している、あるいは試されている短編小説集な筈です。
出し惜しみなんてもちろんなく、全て全力で書いてます。高橋熱はこれで全部です。今はもう何も出てきません。

なので、これまで僕の小説を読んで頂いたことのある方はもちろんですが、全く初めての方にも是非読んでいただけたらこの上ない喜びです。またアマゾンのレビュー欄を通じてでもいいですし、こちらのブログのコメントでも構いませんので、ご感想いただけたら二重の喜びでございます。

ということで、まだまだやること沢山ですが、頑張ります!

超短編小説集Ⅲ『愛玉』 (3月31日発刊予定)

【収録作品】(全10編) (約75,000字/平均読了時間 1時間30分)
1.  愛玉
2.  奇痒譚
3.  バレンタイン騒動
4.  壁画の娘~銀座ライオンの恋
5.  気の毒な老人
6.  名刺奇聞
7.  男と女が再びホテルで会う理由
8.  『マアクンとコウクン』
9.  螺子(ねじ)
10. 愛のミステリーツアー

【書き出し】
かつて、愛は高級品だった。庶民が手を出せるものではなく、お金持ちだけが買える贅沢な代物だった。従って、我々が日常生活で目にする機会はなく、過去に愛を所有したことがあるのは、たった一度だけ、結婚したての頃だった。箪笥やら家電やら布団などの妻の嫁入り道具の一つに、愛は混じっていた。妻に聞いても、間違いなく買った記憶はあると。(超短編小説「愛玉」)

最新短編小説集


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

短編小説集、遅延中

おはようございます。高橋です。

元々年明けには、と思っていた短編小説集が、結局、1月中は駄目、2月中も駄目になりました。数年ぶりの自身のインフルエンザ発症、また想定外の飲み会続き(あ、いつものことか^^;)、もちろんそれだけではないけれど、予定が大きく狂ってしまいました。自身で締め切りを決めて書き始めた筈なのに、全くお恥ずかしい限り。

で、9編目のラブホ前に落ちてた名刺物語はほぼリライト終えました。今は最後10編目を書き始めています。これが最後です。線路に落ちていたクマのぬいぐるみから話が始まります。クマのぬいぐるみが死にたい私を見つめています。ぬいぐるみもペットみたいに、目が合うと、自分を呼んでるような気がしませんか?まあ、そんな話です。

ということで、3月末を目標に、最後の短編をねちこちと。
早朝の執筆時間の管理の難しさ。寝ないで書く訳にもいかないし。
とはいえ、書ける時間が膨大に生まれたところで、きっと他のことに時間を使ってしまうんだろうな、と思うと、まあ、これはこれで限られた時間の中で神経を研ぎ澄ませてゲリラ豪雨みたいに書くという方が、自分の性に合ってる気もするし。ないものねだりでしかないんですよね。あ、いや、でもやっぱり決めた締め切りは意地でも守らないといけないですね。すいません。

もう少し先が見えてきた段階で、また告知します。

最近、月を見ると吠えたくなる狼男より。


2016-03-02 | 日常的なこと | No Comments »