スカート

 女は気付いていた。並走気味に走っているトラックの運転手が、助手席に座っている自分の脚にちらちらと目を向けていることを。 男は無精ひげを生やし、白いタオルを頭巾替わりに頭に巻いていた。時々女の方を見ては、ハンカチに巻いた...

嘘つき

「そんなに遅くならないうちに、帰るようにするから」と、妻のマリは言った。夫の武史には、それが随分離れた場所から聞こえたような気がした。「折りたたみは持ったの? いつまた降り始めるか分からないから」 「うん、大丈夫」 ワイ...

夜道

 気力、体力共に参っていた。このところ、睡眠時間もほとんどとれていなかった。残業が恒常化しているにも関わらず業績は一向に良くなる気配もなく、従って、給料が増えることもなかった。 自宅までの帰途、私は住宅地の中を亡霊のよう...

潜る妻

潜る妻。

 妻が潜り始めたのは、一週間程前からでした。いや、それは私が初めて目にしたというだけで、本当はもっと以前から、妻は潜っていたのかも知れません。 その日、私は夜に予定されていた接待がキャンセルとなり、急遽帰宅することになっ...