どこか遠い場所

 少年は自棄になっていた。酒に酔ったのは単なるきっかけに過ぎなかった。職を探しても、今時中卒では採用してもらえるところなど皆無だった。家にいたところで、男女の醜い諍いを聞くだけだった。これまでの人生丸ごと寄ってたかって、...

樹海パトロール

 舗装された県道から一歩山の際に分け入ると、背丈ほどもある植物の群生と小枝の間隙に、ぽっかり穴のように開いている道が見える。「自殺志願者」によって繰り返し踏みしだかれ形成された樹海の奥深くに通じる道は、狂おしい真夏の喧騒...

深夜のデッドヒート

 国道の追い越し車線を流していると、二つの強烈なハロゲンライトがみるみる大きくなって、ぴたりと背後に密着した。それは追突するかと思うくらいの猛烈なスピードだった。一日の仕事の疲れと、快適な車内の空調で少し居眠りしかけてい...