珍しく文芸誌買ってみました(季刊「メタポゾン」)

twitterでのあるご縁がきっかけで、季刊「メタポゾン」という文芸誌を買ってみました。

基本、大手出版社の文芸誌が主宰する新人賞へは星の数ほど投稿を行ってきましたが、“文芸誌そのもの”は、これまでほとんどまともに読んだことはありません。いかにも「文芸誌」然としたその威圧的外観や作り(本の分厚さや古めかしさ)が、どうも若い頃から馴染めませんでしたし、小説の内容もあまりに多様過ぎて「結局僕は何が読みたかったんだろう」となることが多かったので、今回のような直接的な縁がなければ恐らく一生手にすることは(今のスタイルが続くとするならば)なかっただろうと。

今回は、その方の書いた小説がどうしても読んでみたくなって、最初に掲載された「第4号」を買わせてもらいましたが、現在第8号ということで丸2年続いているらしいです。

中身は大西赤人氏の責任編集の中で、浅田次郎氏や西原理恵子氏などの有名人の名前があったり、エイズの医療ルポがあったり、映画に関する話題があったり連載小説や新人小説があったり。値段は2,000円と決して安くはないですが、「メタ言語」とかのメタと、古代ギリシャの「存在」に関わる用語「ポゾン」を組み合わせた造語「メタポゾン」というネーミングが、文芸誌らしくなくて面白い。

縮小真っ只中の文芸誌業界の中で、あえてこうした本をリスク負って刊行しようとするチャレンジは素晴らしいことだと思います。「想像」を働かせながら文字面を追う「小説」という娯楽に関して言いますと、「電子書籍」で拙著を披露している自分が言うのもおかしいですが、やはり「紙の良さ」には敵わないと思っているところがあって。

価格云々ではなく、僕自身も、小説は「紙」で読みたい派です。電子と紙両方で出版するパターンが最近増えていますが、問答無用で紙を選びます。読中、読後の満足度と印象が格段に異なりますから。


「電子書籍」と「紙」の違いやメリットデメリットについては、過去にも結構言ってきていますのであえて触れませんが、今だからこそ「紙媒体」の良さを世に問う試みには大いに賛同したいと。制作コストも、現在、昔に比べてかなり安価になっていますし、インディーズ出版社が、
インディーズの立場から様々な試みをネットとリアルで展開できる環境が整っています。ならばこそ、従来とは全く違うコンセプト、発想の元で、新たな「文芸誌」が出てきてもおかしくないかなと。

過去に、「文芸思潮」というこれも同じようなインディーズ系出版社の文芸誌で、拙著「青虫」を取りあげていただいたことがありますが、自分の書いた小説が冊子の中で「作品」となり全国に流通する、というこれまで味わったことのないありがたい経験をさせていただきました。

これから、もっと様々なタイプの文芸誌(もうそういう言い方やジャンルもなくなるかもしれなませんね)がネットやリアル店舗で展開されたら、書く方も活躍の場が増えるしチャンスも増え、読み手も自分の好みに合った「選択肢」も増えるのかなと。

「小説がつまらなくなった」とは決して思っていません。素晴らしい書き手もたくさんいます。「シーズ」と「ニーズ」がうまく結びついていないだけな気がします。「読みたい読者」に「読みたい小説」が適切なマーケティングの元に提供されているのかどうかということかと。

まあ、偉そうに言ってますが、じゃあ、どうすればいいのか、というところはまた考え始めると頭がぐるぐるするのでまたの機会にします。

ちなみに、個人的には雑食的な構成よりは、何かターゲット(読み手?)が明確になってて、雑誌(小説)のコンセプトの「柱」が一本通っているようなものがあったらいいですね。特集でもOKですが。

「とことん堕ちたい人を更に堕ちこませるダーク小説」
「産後鬱を少しでも癒す育児小説集」
「通勤時間を快適にする、リーマン向けトホホ短編集」

なんて。
このくらい尖がっている方がインディーズとしては楽しいと思います。
商業ベースはまずは無視してますが……。

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