酒を飲んで「書く」ということ。

酒を飲んだら、小説は書けません。
従って、書かないことに決めています。

若い頃、アルコールやドラッグは心の壁を取り去って、精神の内部を覗いたり拡散させたり、新たな未知の領域を切り開くなどという幻想がありましたが、これはもしかすると音楽や絵画の世界には当てはまることはあったとしても、こと「小説を書く」という作業には向かないのではないかと。

小説は、書き手は相手に「言葉」で表現したいものを伝え、相手も受け取った「言葉」の意味を自分なりに翻訳し解釈する、という一連の思考的作業を強いられるわけで、絵や音楽みたいに、「感覚で理解しろ」というわけにはいきません。

ということは、相手が翻訳しやすいように、解釈しやすいように、書き手も配慮しなくてはなりません。
もとより、言葉というものは人それぞれ意味が違う、というものではないし、文章も一定の文法に則り、ルールの中で書かなくてはいけませんから「好き勝手に思いつくまま意味不明の文脈を書き連ねる」というわけにはいきません。

従って、酒を飲むと、そこがいい加減になってしまって、以前は夜酒を飲んだ後に書いていましたが、翌日覚めた頭で読んでみると、これが実にひどい文章でとても人に見せられるような、読めた文章になっていないというのが現実です。
書いている時は、「これはとんでもない傑作になるぞ!」とか「こんなにすらすら湯水の如く言葉が浮かぶ俺は天才なんじゃなかろうか」なんて思っているのに。

なので、それ以来、あまりに失望する度合いが強い為、お酒を飲んだら、こういうブログでさえ書くまい、と決めています。

早朝に作業をする理由の一つはそういうこともあります。
夜は、ついつい、一杯が二杯、二杯が三杯になってしまうから。

それにしても、お酒は大好きです。

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