先日、友人が「愛着のある漫画は絶対『電子書籍』じゃ駄目。読んだ気がしない」と言っていました。
コミック本をしっかり手中に納め、漫画の世界に「触れている感触」がいいのだ、と。電子書籍にはそれがない、と。
手にある感触と言えば、プラスチックやラバーやガラスでできた、無機質で冷たいガジェットの感覚だけですからね。
なるほど、と思いました。
紙媒体は決してなくならない、と改めて確信しました。
書籍や文庫の良さというのは、ただ中に描かれたコンテンツだけではない。
本は、いつでもどこでもすぐに読み始めることができる適度なサイズ感と質感を保った「紙ガジェット」なのだと。
漫画や小説など、読者の五感や想像力に訴えるものは、殊更そう思います。
ネットで自作をオープンにしている人間が言うのもおかしな話ですが、好きな作家の小説を読む時に「電子書籍」で読もうと思わない理由も正にそういうところにあります。いくら読んでも読んだ気がせず、「自分のもの」としての実感を得られないような気がします。
自分の小説の「良さ」を一番伝えられる最高の媒体は、やはり「紙」だと思っているし、今でもそれは夢でありまして。