アマゾンが月額9.99ドルで特定のタイトルの電子書籍を読み放題にする、という記事を読みました。
恐らく、読み手のニーズとすれば、個々の書籍代金を気にせずに電子書籍をダウンロードしまくれる、とすればこれは非常にメリットがあるのでしょう。
音楽の世界ですでに行われていることが、電子書籍の世界でもスタンダードとなるということですね。この波は、そう遠くない将来、日本にも訪れると思います。
以前から指摘されている、リアル本と電子書籍との価格差の問題。
実際、両者で大した差がないというなら、リアルな「現物」を手元に置きたいと思うのが一般人の感覚であり、データでは、冊子を「所有している」という実感が薄い、と言うのも事実かと。
以前から、生産コスト、流通コストが全く異なる「リアル本」と「電子本」での価格差がなぜこれほどないのか、ということについては疑問であり、出版社擁護の価格調整であり、そのせいで電子書籍の普及が遅れていると思っていました。
ですので、アマゾンがこうしたビジネスモデルを推し進めてくることは全く自然であり、読者ニーズに純粋に対応しようという結果だと思います。
読み手にはいいインフラが揃って来ているものの、一方で、実際の書き手側としてはどうなのでしょう。
「読み放題」でのロイヤリティの計算はどうなるのかは難しいところかと思いますが、既に小説家を本業としている作家にとって、これはフォローの風になるのか、アゲンストの風になるのか、自分にはまだ良く分かりません。
少なくとも、アマチュアにとっては自著が多くの方の目に触れ易くなるはずなので、僕自身は、早く日本にも「読み放題」のスキームが整っていくことを願っています。
なぜなら、ユーザーからすれば、読み放題は「電子書籍を嗜好する理想の姿」であることは間違いないのだから。これまで何度も電子書籍普及の機会を活かせなかったのは、ユーザーに逆らった生産者側の理屈だけを押しつけて行った結果です。今正にアマゾンは、そうした「日本式」の流通モデルに風穴を開けようとしているわけで。
クリエイター側としては、そうしたインフラや環境に対して、どのように自身を合わせていけるか、新しい収益スタイルを考えて行く必要があるのかなと。
ただ小説だけ書いて書籍に掲載してもらって原稿料や印税を稼ぐ、というモデルだけでは食べていけないことは、よほどのベストセラー作家でもない限り、明明白白な訳なので。
僕もまだ一人では力不足なので、これから多くの作家さんたちと、電子書籍について連携していきたい、と考えているところです。アイデアは、いくつかありますから。