ロップイヤー

【超短編小説】うさぎになった妻

 うさぎのロップが亡くなってからというもの、妻はおかしくなりました。一週間泣き続けて涙を枯らし、やがて声を失い、遂に生気も尽きたようでした。 子供のいない我々夫婦にとって、ロップは我が子同然の家族でした。ちょうど十年目の...

短編小説

短編小説

 あなたは今、「短編小説」を読み始めている。 私はあなたにどのような「短編小説」を提供しようか、思案の途中である。あなたにとって、この「短編小説」が少しでも印象深く心に刻まれるよう、これまでに類のない「短編小説」の完成を...

くまのぬいぐるみ

マアクンとコウタン

 死にたい、そう思った。 車内の人波に流されるまま目的の駅で降りると、視界が突然狭くなり、いよいよ立っていられずその場にうずくまった。朝の通勤ラッシュでホームはごった返していて、その場から動けない人間などただの障害物でし...

ランドの夜

 園内に留まってから、三日目の夜を迎えていた。 家の状況がどうなっているのかなんて私には知りたくもなかった。携帯の電源はずっと切っていた。どうせ私なんていなくてもあの家は回っていく。旦那と息子。何不自由なく。 「トムソー...