愛玉

 かつて、愛は高級品だった。庶民が手を出せるものではなく、お金持ちだけが買える贅沢な代物だった。 従って、我々が日常生活で目にする機会はなく、過去に愛を所有したことがあるのは、たった一度だけ、結婚したての頃だった。箪笥や...

夜道

 気力、体力共に参っていた。このところ、睡眠時間もほとんどとれていなかった。残業が恒常化しているにも関わらず業績は一向に良くなる気配もなく、従って、給料が増えることもなかった。 自宅までの帰途、私は住宅地の中を亡霊のよう...

潜る妻

潜る妻。

 妻が潜り始めたのは、一週間程前からでした。いや、それは私が初めて目にしたというだけで、本当はもっと以前から、妻は潜っていたのかも知れません。 その日、私は夜に予定されていた接待がキャンセルとなり、急遽帰宅することになっ...