夜道

 気力、体力共に参っていた。このところ、睡眠時間もほとんどとれていなかった。残業が恒常化しているにも関わらず業績は一向に良くなる気配もなく、従って、給料が増えることもなかった。 自宅までの帰途、私は住宅地の中を亡霊のよう...

ランドの夜

 園内に留まってから、三日目の夜を迎えていた。 家の状況がどうなっているのかなんて私には知りたくもなかった。携帯の電源はずっと切っていた。どうせ私なんていなくてもあの家は回っていく。旦那と息子。何不自由なく。 「トムソー...

視座

 そこが私の「指定席」だった。 先頭車両の二番目の扉。向かって右側の長椅子の端っこ。 始発駅であり、その席に座ることは容易だった。会社までの小一時間、私はそのほとんどを寝て過ごすか、読書をするか、あるいは向かいに座る男を...