風という名のフォロワー

【掌編小説】あるフォロワーの死

 僕は毎朝、空の写真をアップしていた。起き抜けにベランダに出て、その時の空の写真をスマホで撮ってネットに投げた。それはもう日課だった。大した写真ではなかった。特別な操作はしなかったし、加工も補正もしなかった。ただスマホの...

蚊

「ああ、もう」と言って、妻はいよいよ半身を起こした。その不快な音に、私も気になっていたところだった。「本当イライラする。ほら、あなたも起きてよ」 時刻は既に午前零時を回っていた。明日は早朝から支度を始めて家族で海水浴に行...

あるクリーニング屋の日常

あるクリーニング屋の日常

「以上三点で宜しかったですか」と、受付の子は言った。その時の俺は、実に酷い身なりをしていた。寝癖のついた髪、未処理の髭、伸びたロンT、ゴムの緩んだスエットパンツ。いかにも、休日の朝妻に叩き起こされ、クリーニング店に使いに...

欠損

欠損

 台所の一部が、失われていた。正確には、三角コーナー辺りの空間に、三十センチ四方の歪な暗闇が存在していた。僕はそれを便宜上、「欠損」と呼んだ。 欠損は一月前から突然現れ、僕に三角コーナー紛失の不都合を強いた。奇妙な事に、...