酩酊

【掌編小説】酩酊

 暗く長い眠りから、ようやく男は目を覚ました。本当に目が覚めているのか、実はまだ怪しかった。眼に映る天井の照明はぼやけ、きわどく歪んでいた。 昨夜は泥酔した。店で飲んでいる記憶は途中で切れていた。あれ程の酒量は珍しかった...

ティーグラウンド

ティーグラウンドより愛をこめて

 砲台になったティーグラウンドの遥か彼方に、最終ゴールの旗が見える。下ろしたてのボールにドライバーヘッドを合わせ、肩幅よりやや広めに足を開く。雲の継ぎ目から陽は零れ、名も知らぬ野鳥の囀りが無駄な力みを解きほぐす。男の一挙...

ラブテスター

愛の重さ

 「測る」ということ。それは谷田のライフワークだった。仕事で研究してきたこともあるが、今では自身の健康管理の為に計測することが愉しみとなっていた。 最初に、血圧と体温。接待の多い谷田にとっては、ただでさえ生活リズムや食習...

かすがい

かすがい

 逃げる様に家を出た。最近顔を合わせれば喧嘩ばかりしていた。自身はともかく、一人娘が不憫でならなかった。こんな環境で勉強なんて出来る筈ないと思った。 私は車を走らせ、塾帰りの娘を迎えに駅に向かった。「子はかすがい」と言う...