僕にとっての、理想の小説。

小説のカテゴリに寄るのかもしれませんが、明確なテーマ性とインパクトあるイベントのない作品は中々受け入れられない傾向にあるように感じています。こと「何とか新人賞」のようなものだと尚更。

そうした小説はおそらく、下読み段階で真っ先に落とされる小説になります。当然と言えば当然かと。大量に送られてくる応募作品同士の「相対的評価」にあっては、他との「差異」を短時間で理解させる「仕掛け」がどうしても必要となるからです。

自分の書く物は真逆だと思っていて。明確なテーマもインパクトあるイベントもなく、淡々と過ぎていく日常を書くことが多いので。
本を読む場合もしかり。あざとい仕掛けがあるものや強いメッセージ性のあるものには、却って生理的抵抗を感じるのです。

そうしたものより、場の気配をこちらで妄想できる「余白」の多い小説が好きです。
特に若い人の書く文章には、この「余白」がないですね。感情の赴くままに、紙の隅々まで言葉を書き殴っているような。独りよがりの妄想をごりごり押しつけてくるような。余裕がないというか、自制が効いてない、というか。

読み手の妄想を手助けし、維持する小説。
読み手のペースに寄り添い、共に妄想を膨らませる小説。
明快なテーマ性や衝撃的なイベントもオチもないけれど、後で気になって、ふとした時に再読したくなるような。またその人の文章に触れたくなるような。

そんな小説が僕の理想なのです。

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