こんなニュースを見ました。
NHK NEWS WEB 「電子書籍を書店でも 試験販売開始」(H26.6.16)
リアル書店なのに、そこで「電子書籍」も売ろう、という話でした。
読んだ瞬間「??」という感じで。直感的に「違うな」と。
そもそも、限られたスペースでしか陳列できないリアル書店にあって、更に販売スペースをとって、本来場所が必要ない「電子書籍」を並べる意味がどこにあるのでしょうか。しかも書店に行かないで買えるのが「電子書籍」のメリットなのに、わざわざ目の前に「紙の本」が売っているにもかかわらず「電子書籍」を買わなければならないモチベーションとは何なのだろう、と。
まずもって、並んでいる「電子書籍」自体も、出版社の提案する本です。意図的に、様々な思惑や経営判断に基づき、「販売側」からセレクトされた本。
リアル書店ならではの愉しみと言われる「予期せぬ本との出会い」も、既にamazonでは「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」という例の芋づるな提案モデル(この方法は名前があったはずだけど、すいません、忘れました^^;)で実践しています。
しかもそれは、販売サイドからの提案じゃなく、実際にその本を買った消費者自身が他にどんな本を買ったのか、という顧客の購入実績に基づいた提案ですから、同じ嗜好性を持った人が他に何を買っているのかという関心事、販売特性の集約でもあり、更に言うと、ここに提案される「芋づる書籍」には、リアル書店で流通するプロの書いた商業出版物だけではなく、僕みたいな「電子書籍」しか持たないアマチュアの小説までもが、同じプラットフォーム上で提案されるという、正に従来の流通ルート上では考えられなかった(というか、不可能)モデルなのです。
こうした電子書籍のビジネスモデルに、「場所」の制約があるリアル店舗が対抗するためには、リアル本でなければその良さを実感できない本、電子化されただけでは活用のしづらい実用本などに絞り込んだ特化戦略、リアル本を含めた業際商品やコンテンツ展開が必要なのであって、決してリアルな店頭で電子書籍を販売する、なんてことじゃないはずです。(電気屋に行って現物を「確認」した上で、ネットで一番安いところを価格コムで調べて買う、というショールーミング型の消費行動とは明らかに違う訳です)
まあ、試験販売ということなので、これがどんな結果になるのか、是非追跡取材をしてもらいたいですね。