詩・雑文

恋愛に関する雑文

恋愛に関する一考察
初めて君を抱くまでに、僕の好きだったもの。

僕が映りこんだ麗しき瞳。
黒く長いつけ睫毛。
艶やかな厚い唇。
時々口の端から覗く八重歯。
色白で華奢な二の腕。
小さいけれど、つんとせり出した胸。
タイトなスキニージーンズ。
黒革のロングブーツ。
ヴィトンのショルダー。
世田谷のワンルーム。
家族の写真。
控えめな丸文字。
相槌を打つときの表情。
そしてちょっぴり、やきもちな性格。

しかし初めて君を抱いた後では、それらのほとんどは、
特別魅力的なものではなくなっている。

二度目に君を抱いた後では、そのうちのいくつかに嫌悪さえ覚える。

三度目に君を抱いた後では、君の何もかもが嫌になっている。

そして僕はしばらく君と距離を置く。
一月、半年、あるいは、一年。

けれども僕はある日、無性に君に会いたくなる。
一度嫌いになったはずのものに、また一つずつ「好き」のスイッチが入る。
それは真夜中の雷鳴のように、唐突で衝動的なものだ。

空白は二人の距離を縮めるための必要悪であったかのように、
君は自分勝手で我儘な僕を、しぶしぶ受け入れてくれる。
そして、再び僕は君を抱く。

今度は、抱いた後でも、君を嫌いにはならない。
三度抱いた時と違って、君の好きなところを見つけ出そうとさえしている。
君を抱いた数は、君に生涯を捧げる「約束手形」の枚数に等しい。

僕は誓う。

二度と君を離さない。
二度と君を試さない。
二度と君を裏切らない、と。

それでも、またいつか倦怠を覚えるのが、「恋愛」というもの。(了)


 

【不倫に関する自由詩】月曜日の恋人

私が勝手にそう呼んでいる、

あなたの外回りと、

私の仕事の休みが重なる唯一つの時間、

あなたには奥様もお子さんもいるから、

週末の休みを一緒に過ごすことはできないし、

太陽の下で手を繋ぐこともできないし、

二人で夜明けを迎えるなんてもちろんできない、

それでも、あなたは月曜の朝になると、

私の自宅のちょっと先まで車を乗り付けて、

ありふれた日常から私を引きはがす、

誰にも邪魔されない、

ラブホテルの一室で、

あなたの心も身体も独り占めにする、

 

私の中であなたは一〇〇%だけど、

あなたの中で私が全てになることはない、

あなたには奥様とお子さんがいる、

それは最初から分かってること、

一人身の私と違って、

あなたには守るべき人がいるのは承知の上で、

私はあなたに近づいた、

人を好きになるのに理由はなく、

あなたを好きになるにも理由なんてない、

偶然好きになった人に妻子がいたというだけのこと、

非常識と思われてもいい、

気持ちに嘘は付けないから、

あなたと知りあってから間もなく二年、

ゴールがどこにあるかなんて分からないし、

そもそも私たちの関係に、

ゴールがあるのかさえ分からないけれど、

ただただ、あなたのことが好きだという気持ちだけで、

今日も身体一杯、

あなたの愛情を受け止める、

あなたと身体を重ねれば重ねるほど、

あなたの時間全てを私のものにしたい気持ちが、

日増しに強くなっている、

どうにもならないことは分かっているのに、

これ以上あなたを求めてしまえば、

この関係も幸せも壊れてしまうかもしれないのに、

奥様とあまりうまくいっていない話とか、

子供関係のお付き合いが大変そうな話をあなたは時々するけれど、

だからといって私があなたを救えるわけじゃなく、

助けてあげることもできない、

いっそのこと壊れてしまえ、だなんて、

あなたが不幸になるのを望んでる、

冷酷で独りよがりなもう一人の私がいる気がして、

自分でも時々怖くなる、

 

月曜日しか会えないことが辛い、

月曜日はあなたと会えるけれど、

幸せな週末の余韻までも、

あなたはワンボックス一杯、運んで来てしまうから、

マクドナルドのハンバーガーやポテトの匂い、

ドアポケットに挟まれたディズニーランドのパンフレット、

チャイルドシートの食べかす、床に転がるティッシュ、

あなたはそんなに気にしてないかもしれないけれど、

私にとっては永遠に踏み込めない領域、

あなたをどれほど愛しても、

あなたからどれほど愛されても、

あなたの家族を飛び越えることはできない、

ポテトの匂いを残したり、

ティッシュを車に落とすことはできても、

私の香水やイヤリングを車に落とすことはできない、

あなたの日常生活の中に、 

私は存在してはいけない女、

二人の関係を続けていく以上、

私はこれからもずっと、

我慢しなければいけないこと、

でも最近、

私もあまりに辛いから、

あなたもあまりに無頓着過ぎるから、

私はちょっとだけ悪魔になっていたずらをする、

助手席の座面と背もたれの隙間に、

私が生まれた年の硬貨ばかりを、

あなたに気付かれないように、

会う度一枚ずつ差し込んでいく、

馬鹿げてると思うけど、

あなたの日常に私の存在が全くないのは、

あまりにも寂しすぎるから、

 

月曜日の恋人は、

今日もまたいつものように車を停めて、

わたしを根こそぎさらっていく、

週末の記憶も、

私の気持ちも、

丸ごといっしょくたにして。


 

五秒の寡黙。

自分が何か文句を言いたくなったら、ぐっと息を飲み込んで、十秒、いや五秒でもいいから、もう少しだけ、相手の話に耳を傾けてご覧。

お互いがそうするだけで、今までよりももっと素敵な関係になること間違いないから。


2013-02-16 | 詩・雑文 | No Comments » 

 

愛されてますか?

男に愛されているかどうかは、身体を重ねた後の、口づけが一番分かりやすい。

行為で愛しているフリはできるが、口づけで嘘はつけない。

自らの欲求を果たした後でさえ、何度も優しく唇を重ねようとする姿こそが、愛のある男の姿。


2013-02-16 | 詩・雑文 | No Comments » 

 

「主張なきロック」

「主張なきロック」をやろうという話になった。
大学時代のバンド活動。

昔のロックは、人種差別、国家体制への批判、戦争反対、恋愛の悩み、そんなものがテーマだった。若さゆえのエネルギーをロックという音楽に乗せ、力任せにぶつけた。

90年代。僕らの時代は抵抗すべきものがなかった。国にも政治にも差別にも女にもこぶしを振り上げるほどの不満はなかった。みんなそこそこの生きづらさを感じながらも、それは致命的なほど落ちてはいなかった。

そこで、友人たちと、「何の主張もしないロック」をやるにはどうしたらいいのか、という話になった。純粋に音だけを追求するロック。
激しくひずみまくったギターサウンド。
ぶりぶりとかき鳴らすベース。
皮が破れるくらいはたきまくるドラム。
そして、歌詞のない、ヴォーカルのシャウト。

うむ、「主張なきロック」一丁あがり。客なんていらねーよ。やってる人間が満足すりゃそれでいいじゃん。

「なあ」とギター担当の友人。「主張なきロック、だよな?」
「もちろん」と僕。
「でもさ、『主張なきロック』っていいながら『主張がない』ことを主張してるよな?」
「してる」
「詭弁?」
「詭弁じゃなさそうだよ」
「どうする?」
「どうしよう」
「もう少し、真剣にロックやらないか?」
「うん、やる」

「主張なきロック」はわずか一曲、数回の音合わせで終了した。
今、当時スタジオで録音したテープを探しているのだが、それらしい曲はどこにもない。
「主張なきロック」は確かに実在したはずだが、録音すらされぬまま、記憶の奥に消えていった。


2013-02-16 | 詩・雑文 | No Comments » 

 

家庭不和

土日はゆっくり休みたい夫。

土日こそ家族サービスしてくれると期待する女と子供。

家庭不和は、あらかたこの辺りの齟齬から始まっている。


2013-02-16 | 詩・雑文 | No Comments » 

 

ラフより。

(息子)ねえ、パパ、あの人たちは何をしているの?
(父)あれは、「ゴルフ」っていうスポーツなんだよ。長くて堅い鉄の棒を使って、小さなボールをひっぱたく。最後に、穴に入ればゴールさ
(息子)穴に入ればいいなら、打たないで、持っていって入れちゃえばいいんじゃない?
(父)おいおい、それじゃゲームにならないよ。早く持っていって穴に入れた方が勝ちってんじゃ、足の速い人がいつも勝っちまう
(キャディ)「ファ、ファアアアアア」
(息子)なんでわざわざ棒で打たなきゃだめなの?
(父)人間てのは、簡単なことをわざと難しくして喜ぶ変な動物なんだ
(息子)ふうん。わぎゃ
(父)わお、大丈夫?
(息子)ひゃあ、びっくりしたぁ。もう少しでぶつかるとこだった
(父)全く、穴は向こうだぜ。どう打ちゃこっちくるんだよ、下手糞
(息子)今のは下手糞なの?
(父)ああ、下手糞さ。あの向こうに、芝の薄いミステリサークルみたいなところがあるだろう? そうそう、あの旗が立ってる下が穴のあるところなんだ
(息子)ボール、かなり深くもぐってるけど、見つけられるかな?
(父)人間の眼力は芝の上だと飛躍的に向上するらしい。どんなに隠れていたって、勝負に勝つためなら見つけるもんさ
(息子)あ、誰か走ってきた
(父)気をつけろよ。あの棒でひっぱたかれたら、ひとたまりも無い
(息子)あの人、汗だくだね。顔も服もぐっしょりだよ。なんであんなに一生懸命なの?
(父)きっと、偉い人のボールなんだろう。人間の世界では、偉い人は絶対なんだ。偉い人には逆らっちゃいけない。逆らったら、自分がどうなっちゃうか分からないからね。自分だけじゃない、家族もさ。人間の生活って大変らしいよ。我々みたいにその辺に餌があるってわけじゃない。お金がないと、ものが食べられないんだよ
(息子)お金?
(父)ああ。食べ物に替えることのできるものさ。そのお金を手に入れるために、偉い人に逆らったりしちゃいけないし、その人の言うことを聞いて、言われたとおりに動かなくちゃいけない。たくさんの汗を流してでもね
(息子)大変なんだね。自分で食べ物作ればいいんじゃない?
(父)もちろん。でも、他に着るものも買わなくちゃいけないし、住むところも買ったり借りたりしなくちゃいけないし、遠くに移動するために「車」なんてのも必要なんだ。それには、お金がたくさんいるのさ
(息子)僕たちみたいに、いつも裸で、いつでも食べるものがあって、葉っぱの下で雨風をしのげればいい、って訳じゃないんだね
(父)そういうこと
(息子)あの人、捜すの諦めたみたいだね。あ、自分のポケットからボールを出して、「ありました!」なんて言ってるよ? しかも、かなり穴の側まで転がした
(父)言っただろう? 偉い人は絶対なんだよ。「なかった」なんて結論、あってはいけないのさ。みてごらん、こっちに向かって歩いてくるよ。とっても偉そうだろう?
(息子)本当だ。偉そうだね。パパよりずっと偉そう
(父)お前のパパは謙虚だぞ。あんな人間たちとは質が違うよ
(息子)さっきの若い男の人、芝生の上で倒れちゃったみたいだね
(父)この暑さだからね。きっと脱水症状でも起こしたんだろう
(息子)誰も助けようとはしないんだね
(父)助けるわけないよ。潰れた方が負けさ。ライバルが一人減れば、それだけお金をたくさんもらえるチャンスが増えるんだから。
(息子)そうなんだ。ちょっと可哀想
(父)大丈夫。お手伝いさんが無線で連絡してる。死にはしないよ。
(息子)命がけのスポーツなんだね。ゴルフって
(父)ある人にとってみればそうなのかも。さて、そろそろ家に帰ろう
(息子)うん。あ、この埋まったボールはいいの?
(父)問題ないさ。次に見つけた人が拾って、また使う
(息子)リサイクルだね
(父)よし、久しぶりに家までおんぶしていってやろう
(息子)わあい。ゴルフなんかよりこっちの方がずっといいや
(父)いくつになっても可愛い子だね、お前は

(キャディ)AED! AED!
(ゴルファーA)ナイスバーディ! あのショットからバーディだなんて、石川遼もびっくりですね
(ゴルファーB)本当にミラクルですねぇ。今後の御社の未来を象徴してるようなショットでした
(ゴルファーC)そうかね? ドライバーショットがロストにならんで良かった。うん、うん、あの三十ヤードの寄せ、最高だったろう? このボールにはツキが・・・あれ、このゼクシオ、古いな。新発売の奴をおろしたはずなんだが

ショウリョウバッタの親子は、深いラフに埋もれたぴかぴかのゴルフボールの上でしばらく休憩した後、母の待つ7番ホールのグリーン奥へと、仲良く飛び跳ねて行った。


2013-02-16 | 詩・雑文 | No Comments » 

 

異邦人の別離。

女の声は、夜の帳を縦横に切り裂いた。
午前2時。
男は玄関にへたり込み、今にも飛び出していこうとする女の足を、命綱のように抱きかかえていた。

「こんな生活、冗談じゃない。馬鹿にしてるわよ!」
「全くの誤解さ、信じてくれよ」
「二度と騙されないわ。最低。もう、うんざり。あんたの顔なんてみたくもない。さよなら、お元気で。ああ、そう、きっとそうよ、あんたは最初からあたしのことなんて、これっぽっちも愛していなかったんだわ」
「何だって? 愛してもいなかっただって?」

男の足元には携帯が開いた状態で転がっていた。液晶パネルのライトが消え、カメラのレンズが割れていた。傘立てには、ついこの間男が女のために買ってやった、まだ一度も差したことのない花柄のロベルタの傘が刺さっていた。

「ええ、そうよ、全然愛してなんかなかったのよ。あたしなんて所詮、パラモガペよ」
「パラモガペ! そんなこと一言も言ってないじゃないか」

男は大きく頭を振り、両手を左右に広げて、外国人が「信じられない」という時によくする仕草をした。

「パラモガペじゃなければ、ハナモグよ。ハナモグ以下のルンバブエ」
「ルンバブエ! そこまでポクムサイだったなんて」

ハナモグはもとより、ルンバブエの一言は男にとって正直こたえた。
二人で築きあげてきたこの十年間の結婚生活をポクムースし、グルマンするには十分だった。

「いい加減、ジジクニ! ガジュマリンのジョージョージュ!」

男がヌケリキしたのを女はノンガスだった。

「エーリルはアガハイ!」
「ヴォシュギャロッシャ、デデデ」
「フォアグン、エエエ」
シャバエフなトウデュのジュラは、キリーでモゲスた。
「バタム、ギョ!」
「ヌルン、ジェ!」
「(ToT)/~~~」
「(;O;)」

かくして事態は収拾し、また辺りは、夜の静寂に包まれた。


2013-02-16 | 詩・雑文 | No Comments » 

 

優しい別れ方。

差出人:auto-mailing system189998
宛先:kouchan1970○○○@docomo.ne.jp
件名:久しぶりだね(^з^)-☆Chu!!
本文:
こうちゃん、元気? 美由紀です。心配かけてごめん(ToT)このメールをこうちゃんが読んでいるということは、私たちの関係が何らかの事情で継続することができなくなったということなの。こうちゃんとの関係が主人にばれてしまって携帯が使えないとか、私が事故にあってメールも打てない状況だとか、最悪の場合、もうこの世にいないかもしれない。
他の人は知らないけれど、私たちの愛だけは永遠だって、こうちゃんも思ってたでしょ?私の携帯はこうちゃんそのもの、あのサイトで出会ったその日から半年間、一度もメールをしない日はなかったね。

毎日こうちゃんのことで頭が一杯だった。こうちゃんを愛し、こうちゃんに愛されることばかり考えていた。だから、1週間もメールがない、ということは私たちの場合考えられない。きっとそういう事故でもない限り。

だから、もし私がこうちゃんに一週間メールを発信できない場合は、事前に設定しておいたこのメールでお知らせしておかなければいけない、と思ったの。決して、こうちゃんとの関係をおしまいにしたくて(そんなこと、とても考えられない!)、メールをしなかったわけじゃない、ということをどうしても伝えたかったから。二人の愛はいつまでも永遠だもん・・・。そう誓ったよね?

いつになるのかは分からないけれど、またこちらから連絡のとれる状況になったら、メールします。もう死んでしまってたら、無理だけど・・・(^^;) ごめんね、そんなこと想像もしたくないよね。

これまでの半年、素敵な思い出と愛をありがとう。たメールで会える日がくることを楽しみに待ってます!

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差出人:auto-mailing system189999
宛先:moonlight-butterfly.145***@ezweb.ne.jp
件名:Re: 久しぶりだね(^з^)-☆Chu!!
本文:
しばらくメールできなくて、ごめんね。このメールは、美由紀からメールを受信して、1週間返信が打てなかった場合に自動発信するようにしてあるメールです。今の時代、便利なサイトがあるんだね。

メール交換だけで、こんなに人を愛することができるとは正直思ってなかった。お互い結婚していて子供もいるのに、まるで初めて異性と付き合う学生のように、毎日が新鮮でときめいていた。きっと、美由紀はリアルで会っても、とても素敵な女性だと思う。

美由紀はともかく、俺の方から1週間もメールしないということはありえない、何度もそう言ったよね? 
だから、このメールを美由紀が読んでいるということは、俺が美由紀に物理的にメールできない状況になってしまった、ということなんだ。例えば、事故にあって入院してるとか(入院くらいじゃメールは打てるはずだから、意識不明とか記憶喪失とか、かなり深刻な状況だね)
あるいは死んでしまったとか・・・。(人間である以上、悲しいけれど、可能性としてゼロではないからね・・・)

こういう秘密の関係って、万が一どちらかが死んでしまっても分からない、というのが、とても辛いよね。誰かが替わりに連絡してくれるわけじゃないし、待っている方は、いつまでも、くるはずのないメールをずっと待っていなくてはならないことになる。
自動送信メールのいい点は、そういう場合でも相手に通知できることと、決して、愛がなくなったからメールをしなくなった訳じゃない、ということを知らせることができる、ということです。
たまたま、今は事情があってメールができないんだ、と。もちろん、死んでしまっては、話は別だけど。
いずれ、メールができる状況になれば、必ずメールします。もし、死んでしまっていたとしても、天国から愛のメールを送ります。(どこかの映画にありそうな設定だね。今度シナリオ書いてみようかな)

これまでの美由紀との思い出、決して忘れません。これからもお幸せにね^^


2013-02-16 | 詩・雑文 | No Comments » 

 

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