裸

 帰宅した妻は、真っ裸だった。結婚してから、何度かこういうことはあった。その理由について、敢えて問うことはしなかった。何か事情があるとは思ったが、その事で何か生活に支障をきたしたことはないし、普段はちゃんと服を着ているの...

漂流物収集家

漂流物収集家

 海は遠く、凪いでいる。波打ち際は、零れた炭酸のように寄せては返す。緩やかに湾曲する水平線に沿って、大小様々な雲が、盛りの夏空を化粧する。 どす黒く日焼けした痩せぎすの男は、馬の背に切り取られた島の稜線を背景に、目の前の...

小便悲話

小便悲話

 男が帰宅すると、トイレに明かりが点いていた。消し忘れなんて珍しい、取手に手を掛けると鍵も掛かっているようだった。試しに扉を叩くと、こんこん、と中から返事が返ってきたので、男は肝を潰した。「入ってます」 若い女の声だった...